高齢者軟部肉腫に対する治療戦略

Treatment of soft tissue sarcoma in elderly patients

要旨：約30～40％の軟部肉腫例が高齢者の範疇に入ると考えられる。若年と比し身体的機能，精神的機能ともに低下し，その程度も各個人ごとに多様である。その特徴や合併症，治療にまつわる問題点につき認識し診療を行う必要がある。外科的根治切除が治療の第一選択であるが，高齢に伴う合併症や併発疾患を十分に制御しつつ行うことが肝要である。放射線治療も術後断端陽性例など再発の危険が高い例への補助的な使用として選択肢の一つと考える。化学療法については適応例が少なく，非高齢者とは異なった多様な患者背景を把握し，必要性を考慮した上で施行しうる治療法である。