特集 肛門疾患手術入門─痔核・痔瘻・裂肛
Ⅳ.裂肛 2)皮膚弁移動術(SSG)の基本手技
錦織 直人
1
,
佐々木 義之
1
,
尾原 伸作
2
,
錦織 麻衣子
1
,
錦織 ルミ子
1
,
錦織 方人
1
1一路会 錦織病院
2奈良県立医科大学附属病院消化器・総合外科
キーワード:
裂肛
,
皮膚弁移動術
,
SSG
Keyword:
裂肛
,
皮膚弁移動術
,
SSG
pp.1979-1986
発行日 2022年12月15日
Published Date 2022/12/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000003081
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
肛門管上皮の浅い裂創である急性裂肛の多くは保存療法で改善する。しかし,適切な排便コントロールがされないといった慢性的な刺激や細菌感染を繰り返すことにより慢性裂肛へと移行する。慢性裂肛では裂創が深くなることで潰瘍形成を生じ,同時に裂肛部周囲の肛門上皮は慢性炎症により線維化が進行することで伸展不良を呈する。同時に多くの症例において,裂肛の口側に肛門ポリープを,裂肛の外側に皮垂(見張り疣:sentinel tag)を形成し,肛門潰瘍と合わせていわゆる「裂肛の三徴」を形成する(図1)。一方痛みに伴う内括約筋の過緊張は,肛門管静止圧の上昇と肛門管上皮の虚血をもたらし,疼痛の悪化を生じることで「機能的肛門狭窄」を惹起する。同状況を放置し,さらに排便刺激や感染と治癒を繰り返すことで線維化が進行し,徐々に「器質的肛門狭窄」へと進行する。
Copyright © 2022, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.