特集 肛門疾患診療のポイント—エキスパート17人のノウハウ
裂肛手術—SSG法(皮膚弁移動術)の実際
坂田 寛人
1
Hiroto SAKATA
1
1坂田肛門科医院
pp.591-594
発行日 1996年5月20日
Published Date 1996/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902290
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裂肛切除術では切除創を開放創として二次的に治すため,術後に難治創をつくったり,再発する欠点もある.このため切除創を皮膚で被覆する方法が考案された.Sliding skin graftは基本的に腸管狭窄の拡張手術と同様,縦に切開し横に縫合されるが,外側で減張切開される点が異なる.本法は術後の疼痛が少なく,治癒も早く,再発・後障害の少ない安全な術式で,適応は肛門狭窄を生じた慢性の裂肛,難治創を伴う術後肛門狭窄,全周性の瘢痕狭窄である1).さらに内括約筋切開を加えないSSGはWhitehead anusの再建術として,また全周性痔核の部分的横縫合,あるいは痔瘻括約筋温存術における原発巣の被覆においても広く使用されている優れた術式である.本文では日頃行っているSSGについて述べ,さらに最近始めた皮膚弁回転術rotating skin flap2)についても少し述べる.
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