総特集 消化器・一般外科手術における感染対策・周術期管理
Ⅰ.総論 2)外科手術に欠かせない周術期栄養管理
福島 亮治
1
1帝京大学外科学講座
キーワード:
栄養不良
,
prehabilitation
,
GLIM
Keyword:
栄養不良
,
prehabilitation
,
GLIM
pp.1661-1669
発行日 2020年11月15日
Published Date 2020/11/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001932
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栄養不良があると縫合不全や感染症などをはじめとする術後合併症の発生や死亡率が高く,在院日数が延長することはよく認識されている。古くは,消化性潰瘍手術患者で術前の体重減少が20%未満であった患者は死亡率が3.5%であったのに対して,20%以上の体重減少があると死亡率が10倍近い33%に達することが,1936年に報告されている1)。その後も下部消化管手術患者の術後の合併症や死亡率が栄養不良患者で約2倍に達しているとの報告(合併症52% vs. 31%,死亡率12% vs. 6%)2)をはじめ,術前の栄養不良と術後合併症や死亡率などとの有意な関連を示した論文が数多く報告されている3)。そして,周術期の栄養管理が術後感染症4)や重篤な合併症の減少5)といった予後改善に寄与することも示されており,まさに栄養管理は周術期に欠かせない。このような観点から,本稿では,周術期の栄養管理の総論について解説したい。
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