特集 肝胆膵外科における低侵襲手術と臓器温存手術
肝細胞癌に対する系統的肝切除術─腹腔鏡の立場から
久保 正二
1
,
高台 真太郎
2
,
新川 寛二
1
,
竹村 茂一
1
,
田中 肖吾
1
,
金沢 景繁
2
1大阪市立大学大学院肝胆膵外科学
2大阪市立総合医療センター肝胆膵外科
キーワード:
腹腔鏡下肝切除
,
系統的肝切除
,
肝細胞癌
Keyword:
腹腔鏡下肝切除
,
系統的肝切除
,
肝細胞癌
pp.11-17
発行日 2020年1月15日
Published Date 2020/1/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001503
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肝細胞癌(以下,肝癌)の再発形式には転移再発と多中心性再発がある。転移再発は主腫瘍から主として経門脈性に癌細胞が散布され,同亜区域や同区域内に肝内転移巣を形成する。一方,多中心性再発はウイルス性肝炎や肝硬変などによる高い発癌ポテンシャルを背景として,主腫瘍と異なったクローンから発癌する。系統的肝切除は,肝障害を伴う肝癌症例に対して,転移再発の防止を考慮し,根治性を高めることを目的とした手術術式である。系統的肝切除が提唱されて以来1),日本肝胆膵外科学会のプロジェクト研究やメタアナリシスを含む多くの報告によって系統的肝切除の有用性が報告されてきた2-5)。一方,条件によってはその有用性がみられないとの報告がある6,7)。これらの違いは経門脈性転移や肝内転移など肝癌の進行度や,背景肝疾患による発癌ポテンシャルの違いが大きく関与するとともに,複数の亜区域にまたがる肝癌や亜区域の中でも肝癌の存在部位が異なること,実際の系統的肝切除手技の問題,観察期間の違いなどが影響したと考えられる。
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