特集 肝胆膵外科手術におけるトラブルシューティング
Ⅰ.肝臓 9)外傷性肝損傷(Ⅲb)に対する治療戦略
福間 博
1
,
中尾 彰太
1
,
松岡 哲也
1
1りんくう総合医療センター大阪府泉州救命救急センター
キーワード:
肝損傷
,
ダメージコントロール戦略
,
damage control surgery(DCS)
Keyword:
肝損傷
,
ダメージコントロール戦略
,
damage control surgery(DCS)
pp.1017-1023
発行日 2019年6月15日
Published Date 2019/6/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001259
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肝損傷は全外傷入院患者の約5%を占め,腹部臓器損傷のなかで最も多い1)。近年,非手術的療法(non-operative management;NOM)で完遂率が80%との報告2)もあり,2003年にはEastern Association for the Surgery of Trauma(EAST)から循環動態が安定した鈍的肝損傷症例に対するNOMの妥当性が示された3)。しかし,Western Trauma Associationが推奨するアルゴリズムでは,循環動態の安定が得られない症例でFASTが陽性であれば積極的な開腹術を施行することも選択肢の1つである4)と提示されており,このような症例では迅速かつ的確な止血処置,輸血投与が行わなければ救命困難となる。
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