特集 腹部外傷の救急手術手技2019
腹部刺創の手術─開腹の判断と手術のコツ
金子 直之
1
1深谷赤十字病院外傷・救命救急センター
キーワード:
CT
,
不必要開腹
,
手術適応
Keyword:
CT
,
不必要開腹
,
手術適応
pp.199-210
発行日 2019年2月15日
Published Date 2019/2/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001051
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わが国は諸外国に比して腹部刺創が多く,とくに自傷行為が多い特徴がある。筆者が2016年のヨーロッパ外傷救急外科学会において報告した腹部刺創の自験例(1989~2015年,来院時心肺停止症例と,明らかに浅い刺創を除く160例)を,受傷理由別に表1に示す。全体の年齢中央値は43歳(4~90歳)で,男性108例(68%),臓器脱出35例(22%),ショック状態48例(30%),死亡5例(3%)で,全体のうち122例(76%)が自傷であった。受傷理由別に特徴を挙げると,「①事故には小児が含まれ,腹部単独外傷がほとんどである」「②加害(第三者行為)にはショックが多く,死亡率がほかより高く,半数以上に他の部位の切創が認められ,それは顔面と胸部に多く,背部にもある場合がある」「③自傷は他に比して女性が多く,年齢が高い傾向があり,約1 / 3で他部位にも刺切創があり,とくに頸部に多い傾向がある」ということになる。
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