Japanese
English
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腹部刺創
Die Seichwunde des Bauchs
平城 定
1
Sadamu HIRAKI
1
1三井三池鑛業所醫院外科
1Mitsui Miike Kogyosyo Hospital
pp.71-73
発行日 1950年2月20日
Published Date 1950/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200590
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最近経驗した症例を述べ,腹部刺創に就て臨床上注意すべき2・3のことを申述べてみたい.
まづ第1は刺創の記載である. 周知の通り腹部刺創はその殆んど全部が刑事上の問題となるのであつて,裁判に当り医師の診断書は有力な証拠となる. この時一番問題になるのはどういう兇器で刺したかであつて,よく犯人は匕首で刺していながら小刀で刺したとか又2・3人で刺していながら罪を1人でかむつて1人で刺したとかいうものである. これは匕首で刺して居れば予め殺意があつたものと認められ,小刀ではつい腹立ちまぎれもつていた小刀で刺したと考えられ刑の重さに関係があるからである. その鑑定には創傷の性状が一番有力であり,その長さと深さが問題になる. 創の長さから兇器の幅が大休推定され,創の深さから兇器の長さが大体推測されるからである. 從つてこの創をよい加減に記載しておくと後に有力な証拠を失うことになる. 例えば藤原教授の法医学書をひもどいてみると次の様に記載してある.
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