憧鉄雑感
第122回 大雪の日の診療
安部 正敏
1
Masatoshi ABE
1
1医療法人社団 廣仁会 札幌皮膚科クリニック
pp.1135-1135
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000003352
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筆者にとって初めての経験であった。この冬,当地札幌は大雪に見舞われ市民生活に大きな支障をきたした。生物学的製剤治療の自己注射を行う患者は,予約日に3カ月分の薬剤を受け取らねばらなぬ。手許に薬剤がない患者からの “雪のため受診できない” との悲痛な電話が少なからず寄せられた。自然現象には勝てぬため電話再診として薬剤を送付する手配を薬局に依頼すると,宅配便も止まっており無理であり手も足も出ぬ。剰え,日頃殆ど定期受診せぬ患者が “雪のため電話再診” などと大手を振って大量の軟膏処方を要求する有様である。輸送手段がない旨を告げると,あろうことか “ならばとりに行く” とあっさり馬脚を現した。受診なしで薬を手に入れる魂胆であり,為て遣ったりと思っているのであろうが,来院するなら受診せよと簡単な矛盾を突くと,目の前の道路が除雪されておらず時間がかかるなどと地方自治体の悪口を言い出した。本人が除雪して来院する気はさらさらなさそうで,野次馬的発言はお気楽なものである。
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