憧鉄雑感
第108回 診療室の “換気”
安部 正敏
1
Masatoshi ABE
1
1医療法人社団 廣仁会 札幌皮膚科クリニック
pp.409-409
発行日 2021年3月1日
Published Date 2021/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000002455
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生物学的製剤投与中患者にとって,新型コロナウイルスは仇敵である。新規薬剤導入を躊躇する患者は勿論,他剤への変更を欲する患者も登場した。「先生! ウイルスに影響がない薬に変えて貰えませんか?」良好なコントロールの高齢乾癬患者である。「今の薬はウイルスに弱くなるのでしょう?」言わんとする意はわかる。「できれば13番目の薬に!」言わんとする意がわからぬ。後に13ならぬ23番目,つまり “IL-23阻害薬” の意であることが判明し事なきを得た。これ以外の患者でも生物学的製剤投与患者は危機感があるようで,なかでも診療室の換気には敏感である。「この部屋換気していますか?」慌てて窓を開けると,真冬の北海道は急激に室温が下がる。「寒い!」と次の患者。暖房を最強にする。「暑い!」と次の患者。漸く適温に戻す。「この部屋換気していますか?」と次の患者。déjà-vuかと思う。ただ,確かに換気は重要であり,コロナ下の首都圏通勤電車は冬季でも窓開けの協力を呼び掛ける。
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