Dipeptidyl Peptidase-4阻害薬内服中に発症した抗BP180抗体，抗LAD-1抗体陽性の粘膜類天疱瘡の1例

Mucous membrane pemphigoid with autoantibodies to BP180 and LAD-1 that developed in a patient receiving dipeptidyl peptidase-4 inhibitor

57歳，男性。3年前よりテネリグリプチン臭化水素塩酸水和物を内服中であった。初診時，全身に水疱，びらんがみられ，眼球癒着，咽頭，喉頭，食道，肛門周囲にびらんを伴っていた。病理組織像，蛍光抗体法，免疫ブロット法より抗BP180NC16a抗体，抗BP180C末端抗体，抗LAD-1抗体を検出した粘膜類天疱瘡と診断した。ステロイドミニパルス療法（ソル・メドロール^® 500mg/日），後療法をプレドニゾロン 1mg/kg/日内服としたところ，病勢は落ち着いた。多種類の自己抗体を認める粘膜類天疱瘡は重篤な臨床像を呈し，治療に難渋する可能性があることを念頭に置き治療法を選択すべきと考える。