膵腺房細胞癌に伴った壊死性筋膜炎様症状を呈した皮下結節性脂肪壊死症の1例

Subcutaneous nodular fat necrosis showing necrotizing fasciitis-like clinical appearance associated with pancreatic acinar cell carcinoma

60歳，男性。1カ月前より両下腿に皮下硬結，左下腿に紅斑，腫脹が出現した。抗菌薬投与で改善したが，右下腿に疼痛を伴う紅斑，腫脹が出現し，一部に波動を触れるため，当院を紹介受診した。初診時，壊死性筋膜炎を疑い，追加切開，抗菌薬投与を開始した。その後急激な貧血の進行がみられ精査を行った。腹部CTで胃背部に15cm大の腫瘤を認め，膵腺房細胞癌がみつかった。右下腿の皮膚病理組織像は脂肪細胞の変性壊死，ghost-like cellを認め，皮下結節性脂肪壊死症と診断した。本疾患は膵疾患のデルマドロームであり，有痛性皮下結節を特徴とするが，自験例のように広範囲に壊死性筋膜炎様症状を呈する場合もあり，注意が必要である。