高齢で発症したセフトリアキソンナトリウム水和物が原因と考えられた中毒性表皮壊死症の1例

Toxic epidermal necrolysis caused by ceftriaxone sodium in an elderly patient

92歳，女性。尿路感染疑いでセフトリアキソンナトリウム水和物を投与開始後11日目に体幹や下腿に紅斑が出現したため当科を受診した。翌日にセフトリアキソンナトリウム水和物投与を中止し，プレドニゾロン内服治療を行うも，投与中止から14日目に体幹を中心に体表面積の36％の表皮剝離が出現した。病変部から皮膚生検を行い，中毒性表皮壊死症と診断した。ステロイドパルス療法を3日間施行後，プレドニゾロン1mg/kg/日内服投与し，徐々に皮疹は軽快した。リンパ球刺激試験にてセフトリアキソン水和物が強陽性だったため，セフトリアキソンナトリウム水和物を被疑薬と考えた。セフェム系抗菌薬による中毒性表皮壊死症の報告は多いが，85歳以上の報告は自験例含め8例のみだった。