ドセタキセル投与中に生じたヘリオトロープ様皮疹の1例

Heliotrope-like Eruption in a Patient on Docetaxel-based Chemotherapy

47歳，女性。左乳癌の術後補助化学療法として，ドセタキセル（DTX）を5クール目投与20日後に，両上眼瞼に瘙痒を伴う浮腫性紅斑を生じた。病理組織学的には，表皮内に多数の個細胞壊死があり，基底層には液状変性を認めた。真皮浅層の血管周囲性にリンパ球を主体とする炎症細胞が浸潤し，また，真皮内にムチンの沈着を認めた。皮疹は自然軽快したが，6クール目投与40日後に再燃し，再度自然軽快した。自験例は，DTXによる薬疹と考えたが，皮膚筋炎の初期症状としても矛盾していなかった。皮膚筋炎の他の症状，合併症を発症しないか，慎重に経過観察する必要がある。