症例
広範囲に脱毛を生じた牽引性脱毛症の1例
福士(大貫) 瑠璃
1
,
内山 真樹
1
,
福長 美幸
1
,
入澤 亮吉
1
,
坪井 良治
1
1東京医科大学,皮膚科学教室(主任:坪井良治主任教授)
キーワード:
牽引性脱毛
,
瘢痕性脱毛
,
脱毛
,
トリコチロマニア
,
牽引
Keyword:
牽引性脱毛
,
瘢痕性脱毛
,
脱毛
,
トリコチロマニア
,
牽引
pp.1759-1762
発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000000258
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44歳,女性。幼少期から毛髪を頭頂部できつく結ぶ癖があり,30歳頃から頭部の脱毛を自覚した。初診時,牽引される部位の境界部とその辺縁に一致して帯状に脱毛を認めた。ダーモスコピー所見は軟毛,折れ毛,黄色点がみられ,一部は毛孔が消失し,瘢痕性脱毛となっていた。脱毛部辺縁の組織は総毛包数の低下,毛包周囲の線維化と軟毛割合の増加を認め,毛髪を強く縛る習慣による牽引性脱毛と診断した。自験例では利き手側優位に脱毛がみられていたことから牽引する行為を含めトリコチロマニアが原因になっていたと考えられた。患者には強く牽引しないよう指導し,ミノキシジル外用療法で毛髪量の改善を得た。牽引性脱毛症は治療に難渋することも多く,メンタルヘルス科での専門的な治療も含め早期の対応が重要である。
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