Japanese
English
症例報告
局所的に瘢痕性脱毛斑を呈した尋常性天疱瘡の1例
A case of pemphigus vulgaris presenting focal scarring alopecia
小笠原 渚
1
,
福山 雅大
1
,
山﨑 好美
1
,
佐藤 洋平
1
,
大山 学
1
Nagisa OGASAWARA
1
,
Masahiro FUKUYAMA
1
,
Yoshimi YAMAZAKI
1
,
Yohei SATO
1
,
Manabu OHYAMA
1
1杏林大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Kyorin University Faculty of Medicine, Mitaka, Japan
キーワード:
尋常性天疱瘡
,
瘢痕性脱毛
,
抜毛テスト
,
Hair Nikolsky現象
,
バルジ領域
Keyword:
尋常性天疱瘡
,
瘢痕性脱毛
,
抜毛テスト
,
Hair Nikolsky現象
,
バルジ領域
pp.307-313
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207243
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要約 50歳,女性.8年前に尋常性天疱瘡と診断され,集学的治療の後プレドニゾロン(PSL)4 mg/日内服にて維持されていたが皮疹が再燃し,頭髪の脱毛もみられたため受診した.頭部を含む全身に弛緩性水疱とびらんを認めた.頭部のびらん部から施行した抜毛テストにて白色の鞘状構造物を付す毛髪が容易に抜去されhair Nikolsky現象陽性であった.抗デスモグレイン1,3抗体価はそれぞれ,414,31.6であった.入院の上,PSL 60 mg/日に増量したところ速やかに全身のびらんは上皮化した.易脱毛性も消失し,良好な再発毛を得たが,局所的に瘢痕性脱毛斑が残存した.抜毛テストで得られた毛髪を免疫組織学的に検討すると,CK 15陽性の外毛根鞘細胞を認め.同部からのバルジ領域の毛包上皮幹細胞喪失の可能性が示された.尋常性天疱瘡では感染症の合併などにより瘢痕性脱毛を生じる可能性もあるため,局所のびらんが難治な場合には抜毛検体の精査が有用であることが示唆された.
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