特集 付属器疾患 その疑問にお答えします! — ニキビから巻き爪まで Q&A50 —
第Ⅰ章 毛
Q7 トリコチロマニアへの対応を教えてください。
原田 和俊
1
Kazutoshi HARADA
1
1東京医科大学,皮膚科学分野
キーワード:
トリコチロマニア
,
強迫性障害
,
ダーモスコピー
,
円形脱毛症
,
牽引性脱毛
Keyword:
トリコチロマニア
,
強迫性障害
,
ダーモスコピー
,
円形脱毛症
,
牽引性脱毛
pp.720-724
発行日 2020年5月30日
Published Date 2020/5/30
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000001971
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トリコチロマニア(抜毛症)は心理的要因により,患者自らが毛髪を引き抜くことで発症する外傷性脱毛症です。皮膚科医には円形脱毛症をはじめとする他の脱毛疾患を鑑別し,正確にトリコチロマニアの診断を下すことが求められます。トリコチロマニアは臨床的に境界不鮮明な類円形,帯状の脱毛斑を呈し,円形脱毛症における脱毛斑と比べ形が不整,いびつです。また,ダーモスコピーで脱毛斑を観察すると,残存する毛髪の長さが異なるbroken hair,径が不均一なblack dot,trichoptilosisなどが認められます。しかし,円形脱毛症にトリコチロマニアが合併することもあり,両者の鑑別は必ずしも容易ではありません。臨床所見からトリコチロマニアが疑われる場合には,生活環境,家族関係などを詳細に問診し,抜毛行動における心理的・精神的影響が大きいと考えられる症例では,児童精神科,精神科などへコンサルトすべきです。
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