増殖性天疱瘡の1例

87歳，女性。5年前より原因不明の口腔内潰瘍のため，他院耳鼻科で加療中であった。5カ月前頃より臀部に痂皮を付着した紅斑性の局面が出現し，徐々に皮疹が拡大した。病理組織学的所見では好酸球が主体の表皮内膿疱，採血では抗デスモグレイン3抗体上昇を認めた。以上より増殖性天疱瘡のHallopeau 型と診断した。プレドニゾロン30mg/日で内服を開始し，速やかに皮疹は改善した。原因不明の口腔内潰瘍が先行する増殖性の皮疹を認める際には，増殖性天疱瘡を鑑別する必要があると考えた。