メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症を契機に落葉状天疱瘡から疱疹状天疱瘡に移行した1例

Pemphigus foliaceus converting into pemphigus herpetiformis triggered by methicillin-resistant Staphylococcus aureus infection

70歳，男性。体幹に紅斑，びらんが多発し，血清抗デスモグレイン1抗体高値と病理組織学的所見より落葉状天疱瘡と診断した。ステロイド全身投与などによる治療経過中に炎症反応の上昇があり，びらん面，血液からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌（MRSA）が培養されMRSA菌血症を続発した。バンコマイシンを1カ月間投与しびらん面は上皮化傾向となったが，バンコマイシン終了後より末梢血好酸球増多を伴い，膿痂疹様紅斑が多発して紅斑辺縁に小水疱がみられた。病理組織学的に角層内の好酸球性膿疱があり，疱疹状天疱瘡の特徴を示した。MRSA感染症を契機に2型の免疫応答が惹起され，落葉状天疱瘡から疱疹状天疱瘡の病型に移行したものと推測した。