症例報告
診断に苦慮した後部強膜炎の1例
合田 真美
1
,
松尾 将人
1
,
稲川 清香
1
,
窪田 匡臣
1
,
望月 清文
1
,
坂口 裕和
1
1岐阜大学医学部附属病院眼科
キーワード:
後部強膜炎
,
続発閉塞隅角緑内障
,
前房隅角評価
,
画像検索
,
posterior scleritis
,
secondary an gle closure glaucoma
,
iridocorneal angle evaluation
,
imaging search
Keyword:
後部強膜炎
,
続発閉塞隅角緑内障
,
前房隅角評価
,
画像検索
,
posterior scleritis
,
secondary an gle closure glaucoma
,
iridocorneal angle evaluation
,
imaging search
pp.177-184
発行日 2025年2月5日
Published Date 2025/2/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000004052
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後部強膜炎は比較的まれで多彩な症状を呈するので診断に苦慮することが多い。今回我々は,当初急性緑内障発作と診断された後部強膜炎を経験したので報告する。患者は48歳女性。左眼眼痛で近医を受診し,左眼にステロイド点眼を処方されるも改善せず他院を受診した。両眼の浅前房・高眼圧より両眼の急性緑内障発作と診断され,両眼にピロカルピン点眼を処方され総合病院眼科に紹介となった。両眼に眼瞼腫脹,結膜浮腫・充血がみられ,両眼の眼窩蜂窩織炎と診断され,抗菌薬全身投与が行われたが改善せず当科に紹介となった。受診時視力は右(0.5),左(1.2),眼圧は右24mmHg,左16mmHg。細隙灯顕微鏡所見は前述のとおりで,両眼の隅角閉塞がみられた。さらに前眼部光干渉断層計(OCT)では両眼の毛様体剥離,眼底検査・OCTでは右眼の脈絡膜皺襞,超音波Bモード・眼窩部コンピュータ断層撮影(CT)および磁気共鳴画像(MRI)では両眼に強膜肥厚を認めた。血液検査を含む全身検索では全身疾患の合併は否定的であった。両眼とも後部強膜炎に伴う続発閉塞隅角緑内障と診断し,ステロイド全身・局所投与とともにピロカルピン点眼に代わり両眼にアトロピン点眼を併用した。眼所見は徐々に改善し,治療開始20日後にアトロピン点眼を中止し,148日後にはステロイド内服を中止した。その後,両眼0.1%ベタメタゾン点眼1日4回のみで現在まで再発なく経過良好である。後部強膜炎は続発閉塞隅角緑内障を伴うことがあり,診断には多面的な画像検索を要すると考えられた。
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