Japanese
English
特集 第36回日本臨床眼科学会講演集 (その4)
学術展示
後部強膜炎の2症例
Two cases of posterior scleritis
小野田 和成
1
,
白井 正一郎
1
,
鎌尾 憲明
1
,
下川 真貴子
1
Kazunari Onoda
1
,
Shoichiro Shirai
1
,
Noriaki Kamao
1
,
Makiko Shimokawa
1
1名古屋市立大学医学部眼科学教室
pp.526-527
発行日 1983年4月15日
Published Date 1983/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410208884
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
緒言後部強膜炎は1902年Fuchs1)が初めて報告したが,その後報告例は極めて少なく,その診断の困難さをうかがわせる。しかし,1970年代後半以降急激に症例数が増加していることに注目される。この増加の理由は主に検査手技の向上,すなわち螢光眼底造影,CTスキャン,さらに超音波検査による本症の病像がようやく明らかにされてきたことにあると考えられる。我々は病型の異なる2例の後部強膜炎を経験したので,その臨床所見を報告する。
症例1:14歳男子。1979年3月右眼疼痛,充血で発症。その後網膜浮腫,乳頭浮腫(図1a)をきたし,眼球運動障害,軽度の眼球突出も出現。CTスキャン(図1b)で眼球後壁の肥厚を認めた。これらの所見から後部強膜炎と診断し,ステロイド剤内服を行ない症状は改善した。約3年後の1982年4月,右眼痙痛,充血を再発。急激な視力低下とともに黄斑部を含む眼底後極部に境界明瞭な漿液性網膜剥離をきたした(図2)。螢光眼底造影では初期から中期にかけて点状,斑状の螢光が出現し,後期には剥離部に螢光色素の貯留が認められた(図3)。血沈亢進,抗DNA抗体陽性のため全身検査を行ったが,若年性関節リウマチ等の異常はなかった。今回もステロイド内服で諸症状は軽快した。
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.