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後部強膜炎による片眼性汎ぶどう膜炎
大野 重昭
1
1横浜市立大学眼科
pp.1410
発行日 2000年8月15日
Published Date 2000/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906950
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症例は23歳の女性で,左眼の充血,眼痛,視力低下を主訴に受診した。初診時,右眼は異常なく,左眼に結膜充血がみられた。矯正視力は右1.5,左0.1であった。左眼には軽度の前房炎症と硝子体混濁がみられ,眼底には後極部を中心に一面の漿液性網膜剥離,網膜下の炎症,混濁病変がみられた。左眼の臨床像は原田病に類似し,蛍光眼底造影検査所見も原田病に酷似していたが,右眼には異常所見はみられなかった。CT検査では左眼後部強膜の肥厚がみられ,脳脊髄液検査や聴力検査は陰性であった。
本邦では原田病の頻度は確かに高いが,確実な片眼性の原田病の存在は明らかではない。原田病類似の片眼性症例では,まず後部強膜炎を疑うことが大切である。
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