症例報告
アフリベルセプト硝子体内注射後2度の眼内炎で診断がついたアフリベルセプト起因性眼内炎の1例
葛西 友香
1
,
櫻田 庸一
1
,
小暮 千桜
1
,
福田 佳子
1
,
長谷部 優花
1
,
菊島 渉
1
,
柏木 賢治
1
1山梨大学医学部眼科学講座
キーワード:
アフリベルセプト
,
眼内炎
,
硝子体内注射
,
抗VEGF注射
Keyword:
アフリベルセプト
,
眼内炎
,
硝子体内注射
,
抗VEGF注射
pp.73-77
発行日 2024年1月5日
Published Date 2024/1/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003482
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アフリベルセプト起因性眼内炎と考えられる症例を経験したので報告する。患者は65歳,男性。右滲出型加齢黄斑変性に対してアフリベルセプト硝子体内注射を14回受けた。14回目の注射直後より右眼に飛蚊症があり,その3日後より右眼の霧視,眼痛,熱感が生じた。同日中に当院を受診し,右眼は視力低下,眼圧上昇,角膜浮腫,前房内炎症細胞,角膜後面沈着物と硝子体中に炎症細胞を認めた。感染性眼内炎を疑い硝子体手術+水晶体摘出術を施行し,抗菌薬の点眼と静脈内投与を行った。前房水・硝子体液の培養結果は陰性であった。その後は通常術後程度の炎症所見に落ち着き,術後1か月の時点では炎症所見は消失し,視力は(0.4)と硝子体内注射前と同等に改善した。その2か月後には右眼の滲出性変化が悪化傾向でありアフリベルセプト硝子体内注射15回目を施行した。同日より再び右眼霧視,眼痛を生じ,前回と同様の炎症所見を認めた。アフリベルセプトに対する無菌性眼内炎を疑い,ステロイドと抗菌薬の点眼加療を行い,1週間で炎症は消失した。その後はラニビズマブ,ブロルシズマブに変更し,無菌性眼内炎の再発は認めていないことから,本症例はアフリベルセプト起因性の無菌性眼内炎と考えられた。
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