綜説
黄斑上膜の手術適応
若林 美宏
1
1東京医科大学臨床医学系眼科学分野
キーワード:
黄斑上膜
,
硝子体手術
Keyword:
黄斑上膜
,
硝子体手術
pp.757-763
発行日 2022年8月5日
Published Date 2022/8/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002737
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黄斑上膜(epiretinal membrane:ERM)は網膜表面に形成された異常な膜組織により視力低下,変視(歪視),不等像視(主に大視)が生じる疾患である。網膜裂孔や硝子体出血,ぶどう膜炎などが誘因となって発症することもあるが,その多くは原因不明の特発性ERMである。硝子体手術による膜の除去が唯一の治療法であり,手術効果について多くの研究報告がある。しかし,いまだ厳密な手術の適応基準は定まっていない。したがって,手術に踏み切るタイミング,すなわち自覚症状が少ない早期のうちに手術すべきか? またはある程度進行するまで待つべきか? の判断は,個々の眼科医の裁量に委ねられているのが現状である。そのような現状を踏まえ,今回は主に特発性ERMに対する硝子体手術のタイミングを考えるうえで参考になるエビデンスを挙げ,手術の適応について考えてみたい。
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