原著論文
新型レーザーフレアメーターFM-600αと従来品FM-600の臨床比較検証
南 貴紘
1
,
田中 理恵
1
,
廣野 泰亮
2
,
川合 嘉治
2
,
相原 一
1
1東京大学医学部附属病院眼科
2興和株式会社
キーワード:
レーザーフレアメーター
,
FM-600α
,
フレア
,
ぶどう膜炎
,
フレア強度
Keyword:
レーザーフレアメーター
,
FM-600α
,
フレア
,
ぶどう膜炎
,
フレア強度
pp.61-67
発行日 2024年1月5日
Published Date 2024/1/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003480
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
新型レーザーフレアメーターFM-600αのフレア測定能力を検証した。現在広く利用されているレーザーフレアメーターFM-600は,前眼部モニタ画面によりフレア測定部位を設定でき,また400lx以下であれば明室でも測定可能である。FM-600αは同様のコンセプトのもと開発されたが,散乱光受光部の電気系が改善された結果,フレア強度に関する測定値の直線応答性が改善したとされる。今回の検討ではまずin vitroの系において炎症のある前房水に見立てたアルブミン希釈系列溶液の光散乱をFM-600αとFM-600とで測定した。いずれの機器においても,すべてのアルブミン濃度で高い精度の測定が行われ,また両者で良好な直線応答性が確認された。なおFM-600αの測定値はFM-600のそれに比べ11.6%高かった。またin vivoの検討において,ぶどう膜疾患患者30例60眼を対象とし,ぶどう膜外来の専門医師1名が同一の細隙灯顕微鏡を用いて診療録に記載した定性的な5段階のフレア評価,FM-600αとFM-600とによるフレア測定値を解析したところ,FM-600αとFM-600とではフレア測定値は良好な相関を示した〔相関係数0.992(P<0.0001)〕。一方,医師のフレア評価が同じだった眼の群のなかで,レーザーフレアメーターの測定値には大きなばらつきがあり,医師のフレア評価に一貫性がないことが示唆された。FM-600αはFM-600と同様に高精度でかつ幅広い強度のフレアに対して直線応答性の良い測定能力があり,臨床現場においてフレア強度を定量的に記録するのに有用であることが示された。
Copyright © 2024, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.