症例報告
内境界膜翻転法による黄斑円孔閉鎖後に黄斑上膜が発生した1例
竹島 圭悟
1,2
,
中静 裕之
2
,
中井 郁華
2
,
小野江 元
2
,
北川 順久
2
,
田中 公二
2
1公立昭和病院眼科(小平市)
2日本大学病院眼科
キーワード:
黄斑円孔
,
inverted ILM法
,
黄斑上膜
,
変視
,
M-CHARTSⓇ
,
Aniseikonia test
Keyword:
黄斑円孔
,
inverted ILM法
,
黄斑上膜
,
変視
,
M-CHARTSⓇ
,
Aniseikonia test
pp.815-820
発行日 2020年8月5日
Published Date 2020/8/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001773
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大型黄斑円孔(macular hole:MH)に対する硝子体手術において,内境界膜翻転法〔inverted internal limiting membrane(ILM)flap technique:以下,Inverted ILM法〕がMHの閉鎖率を上昇させることは既に報告されている。MHに対し,Inverted ILM法を行った硝子体手術後に続発性黄斑上膜(epiretinal membrane:ERM)が生じ,ERM除去を行った症例を経験したので報告する。
55歳,女性。右眼の中心暗点を主訴に前医を受診した。硝子体黄斑牽引症候群の診断で経過観察となり,1か月後再診時MH stageⅢと診断され,当院紹介受診となった。術前視力0.3,M-CHARTSⓇでは右眼 縦2.0°以上/横1.4°の変視が検出され,光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)により最大円孔径1,048μm,最小円孔径485μmのMHを認めた。初診1か月後,Inverted ILM法を用いた硝子体手術を施行した。MHは閉鎖し,術後1か月視力は0.6に改善した。中心窩陥凹形成も良好であったが,約1年後,黄斑上膜による変視が出現し,再度紹介受診となった。再診時,視力0.6,M-CHARTSⓇ:縦2.0°以上/横2.0°以上,OCTでは中心窩陥凹は消失し,ERM形成を認めた。再度硝子体手術を施行し,ERMおよびILMを除去した。再手術6か月後,視力は0.7に,変視は縦0.5°/横0.5°に改善した。
Inverted ILM法を用いたMH手術後にERMが発生することがある。
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