特集 黄斑上膜を習得する
5 黄斑上膜の成因
池田 恒彦
1
1大阪医科大学眼科学教室
キーワード:
黄斑上膜
,
硝子体手術
,
網膜幹細胞
,
セリンプロテアーゼ
,
2型コラーゲン
,
グリア細胞
Keyword:
黄斑上膜
,
硝子体手術
,
網膜幹細胞
,
セリンプロテアーゼ
,
2型コラーゲン
,
グリア細胞
pp.1569-1575
発行日 2018年12月5日
Published Date 2018/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000976
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特発性黄斑上膜は主に中高年者に発症する頻度の高い疾患であり,進行すると変視症,視力低下をきたす。1970年代にMachemer1)が特発性黄斑上膜に対する硝子体手術の有効性を報告して以来,本疾患は硝子体手術の主要な適応疾患となっている。近年の光干渉断層計(optical coherence tomograph:OCT)の普及により,初期の黄斑上膜の診断が格段に容易となってきており,手術適応例も増加してきている(図1A,B)。しかし,現時点で予防を含めた有効な薬物治療はなく,硝子体手術が唯一の治療手段である。黄斑上膜の成因としては,後部硝子体剥離(posterior vitreous detachment:PVD)によって惹起された内境界膜の破綻によって,感覚網膜中のグリア細胞が遊走増殖する説2)~4),後部硝子体皮質前ポケットの後壁の硝子体ゲルを基盤とし,その部位に細胞増殖や細胞外基質の蓄積が生じるとする説5),などが提唱されている。
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