- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
目的
分層黄斑円孔(LMH)は発症の異なる2つの病態,すなわち黄斑前膜の牽引により生じるタイプと,分層円孔周囲にlamellar hole-associated epiretinal proliferationが高頻度に存在し,その病態に変性が関与していると考えられるタイプとに分類されている。今回,LMHに対する硝子体手術後の予後を2つの異なる病態別に比較検討したので報告する。
対象と方法
対象は2012年1月から2019年7月に東京医科大学病院眼科でLMHに対して硝子体手術を行った25眼で,手術は前膜を除去した後,全例に対して内境界膜剥離を施行した。Govettoらの報告を参考に,治療前のOCT所見と術中所見から牽引LMH(10眼)と変性LMH(15眼)とに分類し,術前の背景因子,術後6か月の視力とOCT所見を2群間で比較検討した。
結果
牽引LMHと変性LMHの中心網膜厚(中央値)はそれぞれ術前の149μm,127μmから術後は236μm,214μmと,いずれも有意に改善し(P<0.01),視力(logMAR)は各々術前の0.22,0.39から術後は0.02,0.15と,いずれも有意に改善した(P<0.01)。しかし,2群間の術後視力を比較すると,変性LMHが有意に不良であった(P=0.01)。また,術後にellipsoid zoneの途絶を有する症例の割合は,牽引LMHが0眼であったのに対し,変性LMHでは7眼(46%)と有意に高かった(P=0.02)。
結論
変性LMHは牽引LMHと比較して,硝子体手術による治療成績が不良であった。変性LMHの手術に際しては,その効果と限界を十分に頭に入れて対応にあたる必要があると考えられた。
Copyright © 2022, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.