私の経験
5歳女児にみられた不思議の国のアリス症候群の1例
野口 久美子
1
,
髙橋 良太
1
,
牧野 伸二
1
1自治医科大学眼科学講座
キーワード:
不思議の国のアリス症候群
,
視空間知覚障害
Keyword:
不思議の国のアリス症候群
,
視空間知覚障害
pp.1013-1016
発行日 2022年10月5日
Published Date 2022/10/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002824
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5歳女児にみられた不思議の国のアリス症候群の1例を報告する。
5歳女児が,感冒様症状出現後に,「ドアノブのねじが飛び出して見える」と訴え,受診した。視力は両眼とも(1.2),前眼部,中間透光体,眼底にも異常はなかった。本人からは,「診察室のドアノブが飛び出して近くに見える」,「診察室の壁のひまわりの絵がひまわりだけ飛び出して,手元近くにある」との訴えもあった。また,「頭では飛び出していないとわかっているが,実際見えるものとの違いがあって,気持ち悪い」との訴えもあった。特徴的な症状を患児自身から聴取できたことから,不思議の国のアリス症候群が考えられることを家族に話した。その後,2週間程度で,自覚症状は改善した。
本症候群の症状は本人以外には理解しがたい訴えであり,小児の場合,家族の不安も強い。患者および家族に対して適切な情報提供と,心身両面のサポートを行う必要がある。
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