特集 黄斑上膜を習得する
3 分層黄斑円孔の診断
佐藤 新兵
1
1関東労災病院眼科(川崎市)/横浜市立大学医学部眼科学教室
キーワード:
分層黄斑円孔
,
OCT
,
牽引型
,
変性型
,
en face OCT
,
LHEP
Keyword:
分層黄斑円孔
,
OCT
,
牽引型
,
変性型
,
en face OCT
,
LHEP
pp.1557-1562
発行日 2018年12月5日
Published Date 2018/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000974
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分層黄斑円孔は1976年にGassによって提唱された黄斑疾患の概念である1)。嚢胞様黄斑浮腫の患者での細隙灯顕微鏡検査において,黄斑に楕円形で赤色調の領域がみられ,組織学的に中心窩の組織に欠損が存在することを示した。分層黄斑円孔は典型的には,黄斑部網膜組織の層状欠損により中心窩の構造に歪みを生じたものと考えられている。分層黄斑円孔の自然経過は比較的良好である2)とされる一方で,硝子体手術は複数の報告があるもののその成績は良好とはいえず,手術による視力低下も危惧されている3)4)。分層黄斑円孔の疾患概念は確定的ではなく,その診断基準には議論がある。近年の光干渉断層計(OCT)の開発・進歩により,それまで検眼鏡では観察できなかった黄斑の状態が評価できるようになり,数多くの知見がもたらされ,分層黄斑円孔の病態や疾患概念に対する理解が深められた。近年では分層黄斑円孔の診断はもっぱらOCT所見によるものとなっている。本稿では分層黄斑円孔の診断についてOCT所見を中心に概説した。
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