症例報告
特異なOCT所見を呈した近視性脈絡膜新生血管の2症例
宮田 佳祐
1
,
森 隆三郎
1
,
田中 公二
1
,
川村 昭之
1
,
若月 優
1
,
小野江 元
1
,
田村 和樹
1
,
中静 裕之
1
1日本大学医学部視覚科学系眼科学分野
キーワード:
病的近視眼底
,
網膜色素上皮
,
ellipsoid zone
,
鋸歯状病巣
,
脈絡膜新生血管
,
炎症
Keyword:
病的近視眼底
,
網膜色素上皮
,
ellipsoid zone
,
鋸歯状病巣
,
脈絡膜新生血管
,
炎症
pp.681-689
発行日 2022年7月5日
Published Date 2022/7/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002702
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網膜色素上皮(retinal pigment epithelium:RPE)上にellipsoid zone(EZ)を穿破した鋸歯状病巣を生じた病的近視の症例を報告する。
症例1は38歳男性。左眼中心窩の単純出血吸収20か月後に視力低下を自覚。左眼視力(0.2×−17.50D)。光干渉断層計(OCT)で中心窩にRPEからEZを穿破し外網状層(OPL)に及ぶ鋸歯状病巣,フルオレセイン蛍光眼底造影(fluorescein angiography:FA)で,網膜血管炎を示唆する過蛍光を認めた。鋸歯状病巣は2か月後に消失したが,4か月後に脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization:CNV)が出現した。
症例2は71歳男性。左眼視神経乳頭耳側のCNV鎮静化4年後に視力低下を自覚。左眼矯正視力(0.5×−12.00D)。中心窩にRPEからEZを穿破し外網状層に及ぶ鋸歯状病巣と,FAでRPEの炎症を示唆する過蛍光を認めた。トリアムシノロンアセトニド後部Tenon嚢下注射施行14日後,鋸歯状病巣は消失したが,17か月後にCNVが出現した。
病的近視眼底に出現したRPE上のEZを穿破する鋸歯状病巣は,RPE上に生成された炎症に伴う滲出物であると考えられ,消失後にCNVを発症することがあるので注意が必要である。
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