原著論文
特発性の孤立性脈絡膜陥凹(focal choroidal excavation)の臨床的検討
三島 麗美
1,2
,
神野 英生
1,2
,
中野 匡
1
1東京慈恵会医科大学眼科学講座
2町田市民病院眼科(町田市)
キーワード:
黄斑
,
光干渉断層計
,
脈絡膜新生血管
,
focal choroidal excavation
,
pachychoroid
,
age-related macular degeneration
Keyword:
黄斑
,
光干渉断層計
,
脈絡膜新生血管
,
focal choroidal excavation
,
pachychoroid
,
age-related macular degeneration
pp.571-576
発行日 2021年6月5日
Published Date 2021/6/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002160
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目的
中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)や加齢黄斑変性(AMD)を合併していない孤立性脈絡膜陥凹(FCE)の単独発症例を形態分類することによって,その発症背景・経過・予後因子に関して検討した結果を報告する。
対象および方法
CSCおよびAMDを合併しないFCE単独発症例9例10眼を対象とした。視力,等価球面度数,前眼部所見,眼底所見,光干渉断層計所見,蛍光眼底造影検査所見をもとに後ろ向きに検討した。FCEは陥凹が網膜色素上皮細胞層と視細胞層が接するもの(conforming type:Cタイプ),接していないもの(non-conforming type:Nタイプ)の2群に分類した。
結果
今回検討した症例群は10/10眼と全症例で近視眼であった。発症後の視力低下例は3例あったが全例回復し視力予後は良好であった。1例は初診時から6年後に脈絡膜新生血管の発症があった。CタイプとNタイプの平均等価球面度数の差や初診時視力に統計学的有意差は認めなかったが発症後の視力低下例は全例Cタイプであった。
結論
今回検討したFCE単独発症の症例群における視力予後は良好であり,近視が発症に関与していると推察された。脈絡膜新生血管の発症例もあり,長期の経過観察が必要である。
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