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未治療の線維血管性網膜色素上皮剥離(fibrovascular PED)を伴う滲出型加齢黄斑変性に対してbrolucizumab硝子体内注射(IVBr)施行後に網膜色素上皮裂孔(RPE tear)が生じ,脈絡膜新生血管(CNV)の拡大とRPE欠損部位に光干渉断層計(OCT)で線維化を示唆する網膜下高反射物質(SHRM)が急速に拡大した1例の経過を報告する。症例は71歳男性。Early Treatment Diabetic Retinopathy Studyによる矯正視力(以下,ETDRS視力)88文字。右眼黄斑部に大型のPEDがみられ,フルオレセイン蛍光造影においてfibrovascular PED,インドシアニングリーン蛍光造影において中心窩下に面状のCNVがみられた。IVBr施行1か月後,RPE tearに伴う黄斑部耳側から中心窩に及ぶRPE欠損部位を認め,ETDRS視力79文字となった。予定していた導入期2回目のIVBrは行わず経過観察となったが,1か月後に漿液性網膜下液の悪化とRPE欠損部位にCNVを示唆するSHRMが拡大したためranibizumab硝子体内注射(IVR)を施行,さらに2か月後にはCNVの拡大,網膜下出血と線維化を主成分とするSHRMの拡大がみられたためaflibercept硝子体内注射(IVA)を施行するも,その1か月後にさらなるCNVの拡大とSHRMの残存がみられた。IVBrの炎症反応の関与も考慮し,トリアムシノロンアセトニドの後部Tenon嚢下注射を施行したが改善はなかった。その後もCNVの活動性は残存し,IVAを3回追加した。初回治療1年後,SHRMとCNVは残存し,ETDRS視力は74文字となった。Fibrovascular PEDに対するIVBrはRPE tear発症の可能性があり,OCTでRPE欠損部位でのCNVの拡大および線維化を示唆するSHRMの出現に注意して経過観察する必要がある。
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