症例報告
病理組織学的検索を行った網膜血管増殖性腫瘍の1例
植村 太智
1
,
千原 智之
1
,
盛 秀嗣
1
,
大中 誠之
1
,
石田 光明
1
,
蔦 幸治
1
,
髙橋 寛二
1
1関西医科大学眼科学教室
キーワード:
網膜血管増殖性腫瘍
,
硝子体手術
,
グリア細胞
,
硬化血管
,
retinal vasoproliferative tumor
,
vitrectomy
,
glial cells
Keyword:
網膜血管増殖性腫瘍
,
硝子体手術
,
グリア細胞
,
硬化血管
,
retinal vasoproliferative tumor
,
vitrectomy
,
glial cells
pp.997-1003
発行日 2021年10月5日
Published Date 2021/10/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002303
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臨床的に網膜血管増殖性腫瘍(RVPT)と合致する所見を示し,病理組織学的に精査した症例を経験したので報告する。
症例は53歳,女性。左眼の変視と霧視を主訴として受診した。初診時,左眼視力は矯正0.9で,前房隅角に2か所のテント状周辺虹彩前癒着がみられた。眼底には黄斑上膜,眼底耳側周辺部に散在する硬性白斑と牽引性網膜剥離がみられ,フルオレセイン蛍光眼底造影では,眼底耳側最周辺部に強い蛍光漏出を示す限局性の結節性病巣を認めた。全身検査ではツベルクリン反応が強陽性であった。その後,網膜剥離が黄斑部に拡大したため白内障手術併用硝子体手術を行い,その際に切除した結節状病巣を病理組織学的に観察した。術後の経過は問題なく網膜復位を得た。摘出組織の病理組織所見は細胞成分が豊富な部位と硬化血管からなり,前者は免疫染色から増殖したグリア細胞塊であり,後者はヒアリン化し肥厚した血管壁を持つ硬化血管の集塊であった。
本症例は隅角所見とツベルクリン反応の結果からぶどう膜炎に続発したRVPTの可能性が示唆された。病態として眼底周辺部の硬化した拡張血管に続発する滲出とグリオーシスが考えられた。
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