症例報告
硝子体牽引により黄斑円孔を生じた網膜血管増殖性腫瘍の2例
河野 通輝
1
,
田中 公二
1
,
北川 順久
1
,
中静 裕之
1
1日本大学病院眼科
キーワード:
網膜血管増殖性腫瘍
,
黄斑円孔
,
硝子体牽引
,
内境界膜剥離
,
内境界膜翻転法
,
強膜内陥術
Keyword:
網膜血管増殖性腫瘍
,
黄斑円孔
,
硝子体牽引
,
内境界膜剥離
,
内境界膜翻転法
,
強膜内陥術
pp.775-781
発行日 2021年8月5日
Published Date 2021/8/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002221
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中年女性の網膜血管増殖性腫瘍(retinal vasoproliferative tumor:RVT)による硝子体牽引から黄斑円孔を生じた2症例に対し硝子体手術を施行し,良好な結果を得たので報告する。
症例1は48歳女性。1年以上前から右眼の視力低下を自覚し,1か月前から変視が出現したため当院を受診した。右眼に黄斑上膜を伴った黄斑円孔,網膜周辺部にRVTを認め,水晶体再建術および25ゲージ(G)硝子体手術を施行した。流入動脈とRVTに対し眼内網膜光凝固および経強膜的冷凍凝固を行い,黄斑円孔に対しては内境界膜剥離と翻転法ならびにC3F8ガスタンポナーデを行い,2日間の腹臥位とした。
症例2は52歳女性。1年前より左眼の視力低下を自覚した。2週間前から視力低下の増悪と変視を自覚し,当院を紹介受診した。左眼黄斑部に牽引を伴う黄斑円孔,網膜周辺部にRVTを認めた。黄斑部の滲出はRVTによるものと判断し,流入血管に対し網膜光凝固術を施行したが,硝子体牽引が増悪し滲出性網膜剥離が拡大したため水晶体再建術,25G硝子体手術および強膜内陥術を施行した。RVTに対しては冷凍凝固を行った。内境界膜剥離と翻転法を行い空気タンポナーデで終了とした。
両症例ともRVTは退縮し,黄斑円孔は閉鎖した。
RVTによる硝子体牽引から黄斑円孔を生じることがある。RVTに対しては病変の活動性に応じた治療を組み合わせ,黄斑円孔に対しては内境界膜剥離,内境界膜翻転法を併用し良好な結果を得た。
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