症例報告
レーザー虹彩切開術が有効であった逆瞳孔ブロックの2例
上原 朋子
1
,
結城 賢弥
1
,
小野 岳志
1
,
坪田 一男
1
1慶應義塾大学医学部眼科学教室
キーワード:
逆瞳孔ブロック
,
レーザー虹彩切開術
,
眼内レンズ縫着術
,
眼内レンズ強膜内固定術
,
無硝子体眼
Keyword:
逆瞳孔ブロック
,
レーザー虹彩切開術
,
眼内レンズ縫着術
,
眼内レンズ強膜内固定術
,
無硝子体眼
pp.899-903
発行日 2021年9月5日
Published Date 2021/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002263
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逆瞳孔ブロックとは,虹彩が後方に偏位し水晶体前面と接着した状態となることにより,虹彩が弁状に働き,前房圧が後房圧を上回り,深前房と虹彩の後弯をきたす現象のことを指す。瞬目や運動負荷などによる後房から前房への急激な房水の移動が誘因とされている。逆瞳孔ブロックになると深前房化に伴う遠視化や虹彩裏面の摩擦に起因する色素顆粒の散布による眼圧上昇をきたすことがあり,また,深前房化に伴う遠視化に対し治療を要することがある。今回,眼内レンズの縫着後に逆瞳孔ブロックが生じ,レーザー虹彩切開術(LI)を行った2症例を経験したので報告する。
症例1は矯正視力0.1,眼圧26mmHg,眼底にはC/D比0.9の緑内障性視神経症を認めた。前眼部OCTで虹彩の後方への弯曲を認め逆瞳孔ブロックと診断した。LI施行により前眼部OCT上,逆瞳孔ブロックは解除され,眼圧は緑内障点眼薬を併用せずに18mmHgと低下した。症例2は矯正視力1.2p,眼圧30mmHg,眼底にはC/D比0.9の緑内障性視神経症を認め,前眼部OCTで虹彩の後方への弯曲を認め逆瞳孔ブロックと診断した。LI施行により前眼部OCT上,逆瞳孔ブロックは解除され,緑内障点眼薬3剤を継続のうえ眼圧は13mmHgまで低下した。
以上より,逆瞳孔ブロックに対してレーザー虹彩切開術は有効と思われた。
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