増刊号 すべて見せます! 患者説明・同意書マニュアル—[特別Web付録]説明書・同意書の実例99点
11 緑内障
レーザー虹彩切開術
有村 尚悟
1
1福井大学医学部眼科学教室
pp.190-191
発行日 2020年10月30日
Published Date 2020/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213783
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手術・治療の概要
レーザー虹彩切開術は,瞳孔ブロックを引き起こす病態,すなわち閉塞隅角症・原発閉塞隅角緑内障などの狭隅角眼,水晶体膨隆・脱臼,虹彩後癒着,プラトー虹彩,小眼球などが適応となる。そのなかでもレーザー虹彩切開術の良い適応である急性緑内障発作は,放置すると失明の危険性が高く,可及的速やかに対応する。診断時は,AS-OCTが診断の助けになることも多い(図1)。発作の際は,できるかぎり早期に介入することで,ダメージを受けた視力・視野は回復する可能性がある。適応があっても安全に施行できない場合,例えば角膜混濁による視認性の低下や,施行病院における器具が不十分であるというような問題,認知症などの全身状態に問題がある場合は,観血的に水晶体再建術や周辺虹彩切除術なども考慮に入れるべきである。アルゴンレーザー虹彩切開術後は角膜内皮細胞面積の増加,あるいは角膜内皮細胞密度の減少を経験する場合があり,緑内障発作眼,滴状角膜やジストロフィなど角膜内皮に問題がある症例は,術後短期的・長期的に水疱性角膜症をきたす可能性があるので,アルゴンレーザーを使用せず,Nd:YAGレーザーのみを用いて行うことも考える。
手術原理としては,虹彩周辺部をレーザーにより穿孔し,前後房間の交通を作成する。その後,虹彩を膨隆させていた後房の房水が前房に導かれることによって,瞳孔ブロックを解除する。したがって,隅角線維柱帯以降の房水流出機能が障害されている症例では眼圧下降が得られない。
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