特集 手術のタイミングとポイント
Ⅱ.緑内障
レーザー虹彩切開の適応と禁忌
生島 徹
1
,
森 和彦
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科視覚機能再生外科学
pp.96-100
発行日 2006年10月30日
Published Date 2006/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100976
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
レーザー虹彩切開術(laser iridotomy:LI)は,外来で短時間に施行可能であるという簡便性,非観血的処置のため術直後の合併症が軽度であるという安全性,術効果の高さ,レーザー機器の普及,以上の利点ゆえに観血的周辺虹彩切開術に代わる治療法として広く普及している。
その反面,水疱性角膜症といった重篤かつ不可逆的な合併症1~3)を発症するリスクを抱えている。わが国の報告によると,全水疱性角膜症のうち1/5がレーザー虹彩切開術によるものであり,無水晶体性水疱性角膜症,偽水晶体性水疱性角膜症それぞれが全体に占める割合とほぼ同程度とのことである2,3)。さらに,レーザー虹彩切開術後の水疱性角膜症はわが国に特徴的であり,アジアを含めた諸外国ではほとんど見受けられない。また発症の原因が不明であるため有効な予防策を講じることができない。以上の点からわが国ではレーザー虹彩切開術の危険性を指摘する声が高まりつつある。
しかし,レーザー虹彩切開術は相対的瞳孔ブロック(図1)の解除4)において有効な治療法であることは間違いない。本稿では,より効果的かつ安全なレーザー虹彩切開術について当院にて留意している点について論じる。
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.