Japanese
English
特集 瞳孔のすべて
虹彩および瞳孔の解剖と機能
Anatomy and function of the iris and pupil
岩崎 雅行
1
,
猪俣 孟
1
,
吉富 健志
2
,
伊東 祐之
2
Masayuki IWASAKI
1
,
Hajime INOMATA
1
,
Takeshi YOSHITOMI
2
,
Yushi ITO
2
1九州大学医学部眼科学教室
2九州大学医学部薬理学教室
1Department of Ophthalmology, Faculty of Medicine, Kyushu University
2Department of Pharmacology, Faculty of Medicine, Kyushu University
pp.710-719
発行日 1985年10月10日
Published Date 1985/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431905726
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I.虹彩と瞳孔の機能
虹彩はぶどう膜の最も前方を占める血管に富んだ組織で,水晶体の直前に位置し,眼房を前房と後房に仕切っている。瞳孔は虹彩の中央部付近にある円形の開口で,角膜の中心よりもわずかに下鼻側にずれている。瞳孔径は年齢によって変化し,新生児と老人で小さい。
瞳孔は,光量,近見,感情,薬物などの影響で,縮瞳あるいは散瞳する。瞳孔径は生理的には2mmから4mmまで,薬物で1mmから9mmまで変化する。カメラの可動絞りと対比させると,瞳孔径4mm時には,F値(焦点距離/口径)はF5であり,被写界深度を計算すると10mの距離で4.4mもあるが,1mで44mm,250mmの明視距離では3.1mmの深さしかない。ところが,視界が明るくなったり,近くの物を見ようとしたりして縮瞳し,障孔径が半分の2mmになると,F10となって4倍暗くなり,被写界深度もそれぞれ2倍深くなって近くの物にもピントが合いやすくなる。また,六大収差のうち,縮瞳によって球面収差,色収差,コマ収差が減少する。
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