綜説
IgG4関連眼疾患の病因論
臼井 嘉彦
1
1東京医科大学臨床医学系眼科学分野
キーワード:
IgG4
,
IgG4関連眼疾患
,
IgG4-ROD
,
形質芽細胞
,
B細胞
,
線維化
,
ヘルペスウイルス
Keyword:
IgG4
,
IgG4関連眼疾患
,
IgG4-ROD
,
形質芽細胞
,
B細胞
,
線維化
,
ヘルペスウイルス
pp.137-141
発行日 2020年2月5日
Published Date 2020/2/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001547
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IgG4関連疾患(IgG4-related disease:IgG4-RD)は,免疫グロブリンのうちでは5%以下であるIgG4が血清で高値を示すほか,全身の諸臓器でのIgG4陽性細胞浸潤と線維化を特徴とするが,病因はいまだ不明である。その病態の中枢は免疫異常であるが,遺伝子異常,自己免疫,環境因子,生活環境や感染などのさまざまな要因が寄与していると考えられる。IgG4関連眼疾患(IgG4-related ophthalmic disease:IgG4-ROD)は,IgG4-RDによる眼病変を含めた包括的名称であるが,涙腺のみならず眼窩内や眼瞼,外眼筋,眼窩内神経(三叉神経の分枝),涙道などさまざまな臓器に病変が起こりえ1),不可逆性の視機能障害も生じる。本邦における治療法としてはステロイドの全身投与が行われるが,漸減・中止の過程で高率に再発するため,新規治療薬の登場が望まれる。病因の解明を進めることは,本疾患に対する今後の新たな治療戦略を考えるうえでも大きな意味を持つ。また,IgG4-RDとして全身の病因を考慮することも重要であろう。本稿では,現在までのIgG4-RODに加え,背景として存在するIgG4-RDの病因についての研究結果を紹介するとともに,病因を見直すことにより,IgG4-RODの発症メカニズムを考察していく。
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