綜説
高次脳機能と眼
澤村 裕正
1
1東京大学医学部眼科学教室
キーワード:
立体視
,
視覚
,
視覚情報伝達
Keyword:
立体視
,
視覚
,
視覚情報伝達
pp.143-148
発行日 2020年2月5日
Published Date 2020/2/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001548
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先日,筆者に神経眼科学の面白さを教えてくださった前神経眼科学会理事長・井上眼科病院名誉院長の若倉雅登先生が執筆された本1)を拝読する好機を得た。その冒頭,はじめに,の箇所に“「見える」とは眼と脳の共同作業”という小表題がつけられている。読み進めていくと,太字で“「見る」とは眼と脳の共同作業で,どちらかに不都合が生じれば快適な視覚は得られない”とも記載されている。この一文に集約されているとおり,通常我々が日常生活で用いる「見える」ということは「視覚」情報機構が適切に働いていることを意味する。同様な現象は他の感覚情報処理機構でも認められる。聴覚を例にすると,知らない言語で何を聞いても,ただの「音のつながり」としてしか捉えることはできないが,多少なりとも勉強したことのある言語であれば,音のつながりが単語として認識され,意味を持つようになってくる。このような外界からの感覚情報を状況に応じて利用するシステムは脳に存在している。本稿では脳における高次情報処理を必要とする「視覚」に焦点を当て,眼との関連を概説する。
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