特集 眼瞼痙攣
5 眼瞼痙攣の治療
増田 明子
1
,
木村 亜紀子
2
1西宮回生病院眼科(西宮市)
2兵庫医科大学眼科学教室
キーワード:
眼瞼痙攣
,
ボツリヌス毒素治療
,
ドライアイ
,
向精神薬
Keyword:
眼瞼痙攣
,
ボツリヌス毒素治療
,
ドライアイ
,
向精神薬
pp.129-134
発行日 2020年2月5日
Published Date 2020/2/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001546
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眼瞼痙攣は,瞬目コントロールの異常1)に基づく病態で,「まぶたがピクピクする」を主訴に受診する場合は眼瞼痙攣ではなく,眼瞼ミオキミアや顔面痙攣のことが多い。患者自身が瞬目に異常を感じていることはほとんどなく2),典型的な臨床症状は,まぶしい,痛いという感覚過敏(感覚障害)と,目を開けられないという運動障害の複合が主である。さらに,瞬目異常による「目がしょぼしょぼする」,「ごろごろ痛い」などのドライアイ様症状の訴えがあるため,実際45%前後がドライアイと診断されている3)。しかし,本疾患での瞬目異常は,明らかにドライアイとは異なり,「眼が急に閉じてしまい車で事故を起こした」など,ドライアイではみられない極めて重篤な臨床症状が認められることが特徴である4)。しかも,「まぶしくて目を開けていられない」「痛くて目を開けられない」ため外出を控え,人との接触をなるべく避けるようになり,抑うつ(気分障害),不安,不眠,焦燥といった精神症状を合併することも多く5)6),日常生活の質(quality of life:QOL)は大きく損なわれている。本項で述べる眼瞼痙攣に対する治療法は,比較的良好な治療成績が得られており,患者のQOL向上が得られるため,積極的に取り組むべき治療と考えている。
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