症例報告
脈絡膜浸潤および角膜後面沈着物を認めた急性単球性白血病の1例
塚本 美香
1,2
,
橋田 徳康
2
,
岩橋 佳子
1
,
西田 幸二
2
1兵庫県立西宮病院眼科
2大阪大学大学院医学系研究科脳神経感覚器外科学(眼科学)
キーワード:
急性骨髄性単球性白血病
,
CD56
,
脈絡膜浸潤
,
角膜後面沈着物
,
髄外浸潤
,
acute monoblastic leukemia
,
choroidal infiltration
,
keratic precipitate
,
extramedullary infiltration
Keyword:
急性骨髄性単球性白血病
,
CD56
,
脈絡膜浸潤
,
角膜後面沈着物
,
髄外浸潤
,
acute monoblastic leukemia
,
choroidal infiltration
,
keratic precipitate
,
extramedullary infiltration
pp.73-79
発行日 2020年1月5日
Published Date 2020/1/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001522
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目的
急性白血病の眼内浸潤の臨床病型のひとつとして前房蓄膿が知られているが,急性骨髄性単球性白血病(AMoL)での眼内浸潤の報告は少ない。今回我々は,AMoLの経過中に隆起性の脈絡膜浸潤と角膜後面沈着物(KP)の出現など特異な臨床経過を呈した症例を報告する。
症例
40歳女性。2014年12月,急性骨髄性白血病(M5a)と診断され,化学療法導入後に骨髄移植されるも寛解には至らなかった。3か月後,右眼眼痛および視力低下を主訴に眼科を受診され,脈絡膜に隆起性浸潤病巣を認めた。化学療法を再開し,2か月後には脈絡膜浸潤は消失した。2015年9月に再度右眼眼痛・眼圧上昇・角膜浮腫があり,白色KPを認めヘルペス性虹彩炎を疑い前房水を採取した。PCR検査の結果,眼内にウイルス等は検出されず,再度施行した前房水採取後の細胞診で白血病細胞の浸潤と診断された。全身的にも白血病の再発と診断され,経過中には化学療法が強化されたが,急速な全身状態の悪化により1か月後,永眠された。
考按
白血病の眼内浸潤の際によくみられる前房蓄膿とは異なって,本症例はKPを主体とする前房内炎症と隆起性脈絡膜浸潤を呈したが,これは肉芽腫性ぶどう膜炎にみられるマクロファージが関与する所見と似ており,AMoLにおける単球由来白血病細胞の腫瘍性増殖がその病態に関与した可能性が考えられた。
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