Japanese
English
連載 眼の組織・病理アトラス・102
角膜後面沈着
Keratic precipitates
猪俣 孟
1
Hajime Inomata
1
1九州大学医学部眼科学教室
pp.570-571
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410904239
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角膜後面沈着keratic precipitates (K.P.)は,虹彩炎や毛様体炎の炎症細胞,または組織の残滓や病原物質などを貪食したマクロファージが前房内に遊出し,それらが角膜後面に付着した状態をいう。前房内の温度は虹彩付近で高く,体表に近い角膜付近で比較的低い。そのために前房水は虹彩付近で上流し,角膜付近で下流する流れがある。これを温流thermal currentという。温流の関係で,前房内に遊出した細胞や物質は角膜後面下方に沈着する傾向がある。前房内の炎症細胞が角膜内皮細胞に付着する際には,眼内免疫反応が最も強い時期に細胞間接着因子intercellular adhe—sion molecule−1(ICAM−1)が角膜内皮細胞に強く発現し,炎症細胞が角膜後面に付着しやすい状態にある。
臨床的に,角膜後面沈着は豚脂様角膜後面沈着Inutton fat K.P.微塵状角膜後面沈着fine K.P.,色素性角膜後面沈着pigmented K.P.の3種が識別される。
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