綜説
後眼部形状と緑内障性視神経症
山下 高明
1
1鹿児島大学病院眼科
キーワード:
緑内障
,
光干渉断層計(OCT)
,
後部ぶどう腫
,
眼球形状
,
個人差
,
誤診
Keyword:
緑内障
,
光干渉断層計(OCT)
,
後部ぶどう腫
,
眼球形状
,
個人差
,
誤診
pp.1519-1525
発行日 2019年12月5日
Published Date 2019/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001480
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後眼部形状の個人差は,後部ぶどう腫のように超音波検査で明確な違いがある眼では臨床でも意識されやすい。しかし,より微細な構造変化を画像化できる光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)の知見から,我々が正常眼と呼んでいるような眼でも後眼部形状の個人差が大きいことがわかってきた。特に緑内障診療では,OCTの正常眼データベースと呼ばれる標準的な眼球形状の眼と比較して診断を行うので,標準的な眼と異なる構造を持つ眼では誤って緑内障と判定されることがある1)。さらに眼底検査でも視神経乳頭が変形して陥凹とリムの評価が難しくなり,紋理(豹紋状)変化が強くなることで網膜神経線維束欠損がわかりにくくなる。そのため,眼球形状の個人差を熟知することが緑内障の診断精度を向上させるために不可欠である。本稿では緑内障診断に影響を与える眼球形状の個人差と,それが生じる原因を仮説を交えて解説する。
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