症例報告
緑内障と診断されていた両側巨大内頸動脈瘤による圧迫性視神経症の1例
下野 龍
1
,
星 太
1
,
小幡 博人
1
1埼玉医科大学総合医療センター眼科
キーワード:
圧迫性視神経症
,
内頸動脈瘤
,
緑内障
,
compressive optic neuropathy
,
carotid artery aneurysm
,
glaucoma
Keyword:
圧迫性視神経症
,
内頸動脈瘤
,
緑内障
,
compressive optic neuropathy
,
carotid artery aneurysm
,
glaucoma
pp.1641-1647
発行日 2024年12月5日
Published Date 2024/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003984
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両側巨大内頸動脈瘤による圧迫性視神経症の症例を経験したので報告する。症例は92歳女性。7か月前から近医において正常眼圧緑内障として抗緑内障点眼薬による加療を受けていた。1か月前から急激に左眼の視力が低下し,精査目的で当科を紹介され受診した。初診時,視力は右0.2(n.c.),左手動弁,眼圧は右8mmHg,左5mmHg。両眼とも眼内レンズ挿入眼で,視神経乳頭は右眼の耳側rimが蒼白,左眼は全体に蒼白であった。散瞳後のOCT検査では,平均C/D比は右0.52,左0.45,左眼の視神経乳頭周囲の網膜神経線維層や黄斑部網膜内層の菲薄化はみられたが,右眼のそれらは正常範囲内であった。Goldmann視野検査では,右眼の視野狭窄と傍中心暗点を認め,左眼は耳側にわずかな視野を残すのみであった。頭部単純CTを行ったところ,両側内頸動脈瘤が疑われる所見を認めたため,脳神経外科へコンサルトした。造影MRI・MRAで,左右海綿静脈洞部に最大径右2.5cm,左3.0cmの巨大内頸動脈瘤を認めた。超高齢者であり,開頭手術は侵襲が大きく,ステント治療もリスクが高いと判断され,経過観察の方針となった。緑内障と圧迫性視神経症の鑑別が難しい症例がある。眼圧が正常な場合,視力,視野,視神経乳頭所見,OCT所見を総合的に考え,緑内障として非典型的な場合は頭部画像検査を行うことが大切である。
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