特集 OCTによる緑内障診療アップデート
4 近視緑内障症例におけるOCT
金森 章泰
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1医療法人社団 かなもり眼科クリニック/神戸大学医学部眼科学教室
キーワード:
近視
,
光干渉断層計(OCT)
,
緑内障
,
診断
,
視神経症
Keyword:
近視
,
光干渉断層計(OCT)
,
緑内障
,
診断
,
視神経症
pp.1191-1202
発行日 2023年10月5日
Published Date 2023/10/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003355
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高度近視眼は,眼底写真や検眼鏡等では緑内障診断が困難なことがある。緑内障診断のためには視神経乳頭の変化を捉える必要があるが,近視眼には大乳頭・小乳頭や傾斜乳頭が多く,陥凹拡大が把握しづらい。乳頭周囲網脈絡膜萎縮(PPA)が拡大しており,強膜が透けて見える状態のことも多い。また,網膜全体の菲薄化により,緑内障における網膜神経線維層欠損(NFLD)の把握が困難となる。臨床現場では,近視性変化が強い眼を“正常”と判断するほうが難しいこともしばしばである。さらに,近視性視神経症(myopic optic neuropathy:MON)と呼ばれる病態もあり,視野障害も含め,MONと緑内障性障害を分ける定義もない現状,どこまでが緑内障による影響なのかを明確に判断することが困難な症例が多々ある。後部ぶどう腫や網脈絡膜萎縮が高度になると緑内障様も含むさまざまな視野欠損をきたし得る1)。したがって,緑内障診断に必須となった光干渉断層計(OCT)に頼りたくなる現状があるが,OCTにも近視特有のピットフォールがある。OCTは簡便でさまざまな情報が得られ,緑内障診療に必須の機器となったが,OCTだからこそ緑内障と間違って判定される(偽陽性判定)ケースが多々あることも認知すべきである。
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