綜説
人工硝子体の研究最前線
上杉 晃司
1,2
,
坂口 裕和
1
,
西田 幸二
1
1大阪大学医学部眼科学教室
2株式会社メニコン
キーワード:
硝子体
,
人工硝子体
,
ハイドロゲル
,
自己集合性ペプチド
,
薬物徐放
Keyword:
硝子体
,
人工硝子体
,
ハイドロゲル
,
自己集合性ペプチド
,
薬物徐放
pp.1513-1518
発行日 2019年12月5日
Published Date 2019/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001479
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硝子体は,眼の後方に位置し,眼球のおよそ2/3を占める,水分のほか,コラーゲンおよびヒアルロン酸からなるゼリー状の透明な組織である(表1)1)。硝子体は,光を透過させる,外圧から眼組織を保護する,網膜を眼球壁へ圧着させる(タンポナーデ効果),物質拡散を制御する,などの生理的な働きを有するほか,網膜剥離や黄斑円孔などの網膜硝子体疾患の病態生理にも関与している2)。裂孔原性網膜剥離や糖尿病網膜症,黄斑円孔など,視界に弊害を与える疾患においては硝子体切除術といった外科的介入がしばしば必要とされる。その際,取り除かれた硝子体の代わりに,生理食塩水,空気,ガス,シリコーンオイルといった人工的な硝子体が必要とされる。しかし,特にタンポナーデ物質として現在使用されているガス,シリコーンオイルといった物質はさまざまな問題を抱えており,タンポナーデ効果を有するより良い人工硝子体の開発が待たれている。
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