特集 緑内障の非眼圧的要素
1.視神経乳頭血流と緑内障の進行
面高 宗子
1
,
中澤 徹
1
1東北大学大学院医学系研究科神経感覚器病態学講座眼科学分野
キーワード:
緑内障
,
視神経乳頭血流
,
LSFG
,
篩状板
,
進行
Keyword:
緑内障
,
視神経乳頭血流
,
LSFG
,
篩状板
,
進行
pp.573-580
発行日 2017年6月5日
Published Date 2017/6/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000051
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緑内障は本邦の中途失明原因第一位の眼疾患で,全世界でも患者数は6,000 万人以上に及び,失明原因の第二位となっている1)。岐阜県多治見市で行われた疫学調査(多治見スタディ)から,40 歳以上の約5%,70 歳以上では11%もの有病率となっている2)。超高齢化社会となった現在,緑内障患者数は今後も増加していくことが懸念される。緑内障はエビデンスレベルの高い高眼圧を筆頭に,さまざまな危険要因が絡み合って発症する多因子疾患である(図1)。特にアジアでは,正常眼圧緑内障(normal-tension glaucoma:NTG)の割合が多く,日本では9 割以上を占めることが判明している3)。米国で行われたNTG を対象としたCollaborativeNormal-Tension Glaucoma Study(CNTGS)では,30%の眼圧下降治療が視野保持のために有効であることが証明された4)。その一方で,30%の眼圧下降が得られたにもかかわらず,視野進行した症例が存在することも同時に明らかとなった。実臨床でも,NTG の多い日本人では十分な眼圧下降が得られていても視野欠損が進行する症例が散見され,本邦の緑内障の成因には眼圧以外の因子も大きく関与している可能性がある。緑内障の非眼圧的要素のひとつとして考えられるのが眼血流である。本章では,非眼圧的要素のなかでも眼血流に焦点を当て,緑内障の発症・進行に関する点を総括する。
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