臨床報告
重篤な視力低下を示した両眼性マイボーム腺炎関連角膜上皮症の1例
堀中 真理子
1
,
﨑元 暢
1
,
山上 聡
1
1日本大学医学部視覚科学系眼科学分野
キーワード:
後部眼瞼炎
,
マイボーム腺炎関連角膜上皮症
,
Cutibacterium acnes
Keyword:
後部眼瞼炎
,
マイボーム腺炎関連角膜上皮症
,
Cutibacterium acnes
pp.1321-1327
発行日 2019年10月5日
Published Date 2019/10/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001420
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後部眼瞼炎・マイボーム腺炎に続発する角膜上皮障害として,マイボーム腺炎関連角膜上皮症が知られている。今回,重篤な視力低下を示した両眼性マイボーム腺炎関連角膜上皮症の1例を経験したので報告する。症例は47歳,男性。約1年前から眼脂,羞明,流涙などの症状があり近医で抗菌薬点眼,低濃度副腎皮質ステロイド薬点眼による加療を受けるも軽快せず,当科紹介となった。初診時視力右眼(0.02),左眼(0.15)。両眼性の強い結膜充血,全周性の表在性血管侵入,角膜上皮障害,眼瞼縁のマイボーム腺開口部閉塞所見を認め,角膜内へのフルオレセイン透過性亢進も伴っていた。両眼性マイボーム腺炎関連角膜上皮症と診断し,ミノサイクリン内服,ビタミンA内服,レバミピド点眼,生理食塩水点眼を処方したところ,充血や血管侵入,上皮障害は徐々に軽快し治療開始2か月後にミノサイクリン中止,治療開始4か月後には視力右眼(0.8),左眼(1.0)となった。瞼縁培養からはCutibacterium acnes (Propionibacterium acnes)が検出された。
マイボーム腺炎とそれに続発した眼瞼縁の炎症によって生じたと思われる両眼性マイボーム腺炎関連角膜上皮症の1例を経験した。マイボーム腺炎関連角膜上皮症にはクラリスロマイシン内服が有用とされているがミノサイクリン内服も効果的であった。
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